ملح

先日、「ملح」について、中級辞書での登録内容がいまいちだと感じて、改めて「ملح」を調べると、結構面倒臭く、まとめ直すのに時間がかかりましたが、更新しました。

Ⅱ形の動名詞「تمليح」は、食物の長期保存に使われる用語で、Ⅰ形の「塩を振りかける」ではなく、「塩漬け、塩蔵」という訳語が適切ではないかと思いました。

ملح.jpgのサムネール画像

また、某辞書になりますが、魚を釣るときに仕掛けの鈎に付けるエサが「طمعة」になっていましたが、これは「طمع」の間違いだと思います。因みにその複数形は「طموع」になります。

餌というと、動物、鳥、魚、昆虫等を捕獲したり釣ったりするためのエサという意味と、それらを飼育するするために与えるエサという2つが考えらますが、後者のエサは食べ物という意味の「طعام」が使われます。

وداع رمضان

昨夜、あるお宅でイフタールがあり、食事後に歓談していたら、「وداع مضان」の話になりました。
「ラマダーンへ別れを告げる行事」のようです。

バーレーンの伝統行事らしく、湾岸諸国でも同様の行事が行われているはずだと聞きましたが、どうなんでしょうか?

明日からラマダン最後の日にかけて、バーレーン国内の各地区で何時から行うか等のスケジュールがネットで配布されているとのことでした。

ラマダンは、日本人にすれば盆と正月が一緒に来たような大変重みのある行事で、断食の修行の終わりが近いというイスラム教徒の喜びを示す行事ではないかと思われます。

[昨年の行事の様子]




علف

紙媒体の某日本語-アラビア語-英語辞書に「(動物の)飼料」や「餌」の訳が「علوفة」になっていたのですが、これは誤りです。

علوفة」を「Reverso」のサイトで検索してもヒットしません。「Reverso」で検索できないということは、使われない語であると理解していいでしょう。

念のためアラビア語を母国語とする人に尋ねても、「علوفة」は聞いたことがないとの反応でした。

「飼料」、「餌」、「飼い葉」、「まぐさ」を意味するアラビア語は「علف」になります。

なお、「علف」の複数形には、「أعلاف」、「علاف」、「علوفة」があるとHANS WEHRの辞書等で記されています。「علوفة」がまたもや出てきました。アラビア語を母国語とする人に確認したところ、現在、複数形で使われるのは「أعلاف」だけであるとのことでした。それは「Reverso」のサイトでも確認できます。

結論的には「علوفة」という語は、現代アラビア語では使われれないということになります。

ブサイナ王女

最近妻が知り合ったバーレーン人女性の名前が、「ブサイナ」さんだったので、妻は「ブサイナ」というお名前は「子猫」という意味ですよねとその女性に尋ねたら、「بسينة」ではなく「بثينة」だと言われたとのこと。

昔、オマーンで勤務していたときに、ブサイナ王女の話を初めて知りました。
当時、ネット上では王女の名前が「بسينة」と書かれていたのを記憶していますが、今改めて検索すると「بثينة」と記されています。

アラビア語を母国語とする人に確認したところ、「بثينة」は、女性の名前として使われるが、古風なイメージがあるとのことでした。
また、「بثينة」は「بثنة」の縮小名詞で、「بثنة」は「土が柔らかい肥沃な土地」を意味するらしいですが、使われることはほぼない語であるとのことでした。

بسينة」は「子猫」や「可愛い女性」の意味があり、レバノンやシリアでは一般的に使われる女性の名前であるとのことでした。
アラビア語を母国語とするエジプト人は、女性名としてエジプトでは「بسينة」は全く使われず、「بثينة」は使われるとのことでした。

ブサイナ王女については、日本語で検索すると多くのサイトで触れられていますので、ご存じない方はそれらのサイトを読んでみて下さい。
日本人からすると興味深い話であり、神戸出身の私にとっては一層興味深く感じますが、オマーン側からすればあまり知られたくない話であるのかもしれません。


حبوب لقاح العسل

先日、「شاي حبوب العسل」と書かれたお茶をプレゼントで頂きました。
これは何だろうと調べるうちに、ミツバチ関連食品の語が本辞書では登録されていないことに気づきました。
因みにこのお茶は、飲んでみると、プロポリスの味がしました。

حبوب العسل」は、「حبوب لقاح العسل」が正式名称のようで、日本語訳は「花粉荷」や「ビーポーレン」となっているようです。

プロポリス、ロイヤルゼリー、蜂蝋(蜜蝋)などをこの機会に登録しておきました。

湾岸ではイエメンのハドラマウトの蜂蜜は大変人気なようで、イエメン産の蜂蜜を売る店をよく見かけます。




新型コロナウイルス

紙媒体の某日本語-アラビア語-英語辞典で、「新型コロナウイルス」の訳を「فيروس كورونا المستجد」と記してあり、気になったので、アラビア語を母国語とする人に確認したところ、以下の回答がありました。

非限定の「新型コロナウイルス」は、「فيروس كورونا مستجد」となる。
限定の「新型コロナウイルス」は、「فيروس الكورونا المستجد」が文法的には正しい。
それは、例えば、「مدرس المدرسة الجديد」(学校の新米教師)と書かれるとのと同じである。
فيروس كورونا المستجد」という表記は、理解できなくはないが、アラビア語文法に則っておらず、残念である。

なお、語数の多い「مستجد」を使わず、一般的な「جديد」を使う方が自然に聞こえるとの指摘もありました。

(OS、ソフトの)インストール

コンピュータ上でのOSやソフトウェアの「インストール(する)」を意味する語は、「ركب」、「تركيب」だけだと思ってたのですが、「ثبت」「تثبيت」にも同様の意味があると知りました。

アラビア語を母国語とする人に念のために確認しましたが、これら2語は意味上の差異なく、OSやソフトウェアのインストールの意味で使われる語であるとのことでしたので、中級辞書で反映させておきます。

معدل النمو السنوي المركب

表題の経済用語は、「年平均成長率」(CARG=Compound Average Growth Rate)のことで、一定期間における各年の成長率(国家収入や企業の売り上げの伸び率)を幾何平均したものであるとのことです。
国家や企業の成長性や将来性を分析する指標で、近年よく見かける表現になっています。
مركب」(Ⅱ形受動分詞)には、「幾何平均された」、「相乗平均された」という意味があると理解されます。

他方で、「معدل النمو السنوي」(年間成長率、AGR)は、単純平均を用いるので、期間内の変動が大きいと成長率が過大に或いは過小に評価されてしまう恐れがあるとのことです。AGRは一年当たりの正確な成長率を把握するために使われると説明されていました。

لا يجب أن

紙媒体の某日本語-アラビア語-英語辞典で、「لا يجب أن」を「~してはならない」と訳してありましたが、これは誤りです。

アラビア語を母国語とする人でも誤って理解されているところがあるようで、誤用法を嘆くサイトも散見されます。

لا يجب أن」は、「~をする必要はない」という意味になります。

他方で、「يجب ألا」は、「~してはならない」、「~すべきでない」になります。